静電型の音は、なぜ違うのか。
従来型スピーカーが宿命的に抱える歪みから、電界に浮かぶほぼ質量ゼロの振動膜まで。その違いを、見て、触れて、体感してください。
従来型スピーカーが抱える歪みの問題
重いコーン、ボイスコイル、共振するキャビネット。そのすべてが音楽に痕跡を残します。このセクションでは、歪みがどこから生まれるのかを解き明かします。
音の歪み
ボイスコイルと紙コーンには相応の質量があるため、振動膜が動く際に慣性と物理的な抵抗が生じ、音の応答速度を左右します。過渡応答が遅れると、音楽のディテールや階層感を十分に再現できません。さらにコーン素材そのものも音に影響し、色付け(カラーレーション)が生じやすく、純粋で自然な音質から遠ざかります。
濁る音
キャビネット構造は共振・定在波・音響反射を起こしやすく、共鳴によるエコー(箱鳴り)を生みます。その結果、音から純度と階層感が失われ、濁った不明瞭な聴こえ方になります。
静電型スピーカーの発音原理
2枚の帯電したステーターの間に浮かぶ超薄型の導電振動膜を、音声信号が直接駆動します。
静電型スピーカーは、高電圧バイアスをかけた2枚の平行ステーター(電極板)と、その間に張られた超薄型振動膜で構成され、振動膜の表面には導電層がコーティングされています。音声信号がステーターに加わると交番電界が生じ、振動膜が信号の波形どおりに振動して空気を動かし、音を生み出します。振動膜はきわめて軽く慣性がほとんどないため、応答は非常に速く、低歪み・広帯域・高解像度という強みを備え、高精度なオーディオシステムに最適です。
ほぼ慣性を持たない超薄型振動膜から、音のディテールが自然にあふれ出します。空気感、階層感、定位は、透明と呼べるほど精緻。箱鳴りの干渉がなく、純粋で忠実な音楽再現だけがそこにあります。ハイエンドのリスニングルームでも、プライベートな空間でも、まるでその場に居合わせたかのような、かつてない臨場感に包まれます。
従来型 vs 静電型
1本の境界線と、3つの視点——緻密さ、明瞭さ、純粋さ。左が静電型、右が従来型。その違いを、一項目ずつ確かめてください。
静電型スピーカー
従来型スピーカー
緻密さ
振動膜を電界が駆動し、応答は瞬時
コーンの質量が物理的な抵抗を生む
極薄の振動膜は慣性がほぼゼロ
過渡応答が比較的遅い
明瞭さ
振動膜が直接音を放射
キャビネット内部で定在波と反射が発生
キャビネット共振の問題がない
箱鳴りが音を濁らせる
純粋さ
音がフォーカスを保つ
音が広く拡散する
小さな音量でも高い効率
室内反射がエコーを生む
拡散によるエネルギーの減衰が少ない
エコーが音楽を妨げる